テレビ・取材記事
  • アポロニア21 2001/5月号
    院長interview『“選ばれる歯科医院”を目指して』



患者さんのためのリラキシゼーションとコミュニケーション

 3年間勤務医として働いた後、平成7年に開業。それ以来、不況の時代にあって順調な経営を続けている。それは単なる”経営上手”の結果だけではないようだ。
 例えば、院内撮影のとき、壁に貼ってあった患者さんの予約表をはずす、などという細やかな心遣いをする。そんな先生を見ていると、良好な医院経営のポイントは案外単純で身近な所にあるように思えてくる。

■患者さんが来たくなる医院づくり
---落ち着いた感じの照明など、ずいぶん安らぐ部屋の作りになっていますね。
 こうした部屋などの環境づくりを、どこかで勉強されたのですか?
星野●特に勉強したということはありませんね。ただ、薬くささや、キーンというような音などで、患者さんは診療所に入ってきた時から恐怖感をうえつけられてしまいます。入ってきた時にまずリラックスするような音楽がなっていて、受付がニコッと笑って、それで通されたチェアーでも音楽が鳴っていて、で、僕らもゆったりとした気持ちで治療をしてあげれば患者さんの痛みの度合いも低くなるんじやないかと……。
 それを考えていくと、内装の色は青とか落ち着く色を、とか、また視覚だけでなく五感を安らげて、といろいろと考えていくうちに、このような内装になったんです。


---独学ですか?
星野●自分が目指す歯医医療を考えていたら、このようになったということです。

---診療する場が個室で、なおかつ部屋ごとに違った雰囲気という、あまりないつくりになっていますね。そういうことについて、開業する前から考えていたのですか?
星野●そうですね。このようなイメージは頭の中にありました。開業前に自分でイラストを書いていましたしね。
 ただ歯を治療するというだけでなく、楽しんでもらいたいという気持ちがあったんです。何よりも、普通の歯科医院のようにはしたくなかったというのはあります。
 開業前に統計などを見て、その結果歯料医師の数はどんどん増えていくということがわかったので、違ったことをしなくてはいけないと思っていました。
 ですから、とにかく他の歯科医院との差別化をしたかったんです。それを考えていたら、自然といまの診療所が出来上がったということですね。


---もしかして、お父さんが歯科医師で何か影響を受けられたとか?
星野●いえ、父は元銀行員です。私の家系には医者関係はいません。ですから、逆に他の医院との違いを出していかないと負けてしまうと思ったんです。他の医院よりも雰囲気とか応対とかをよくしていけば、絶対うちにくるなと思っていました。

---でもそういう先生の考えが、時代に合っていたんですね。
星野●歯科医師の数も増えて、特徴のある病院に行きたいと患者さんは思いはじめて、患者さんが医院を選んでくる時代になってきました。われわれが選ばれる時代になってきたわけです。

---先生は一日にどれくらい患者さんを診ていらっしやるんですか?
星野●30人から40人です。私一人で診ているのは15人〜20人です。ちなみに収入のうち8割が自費です。
■8〜9割の患者がインターネットを見て…
---インターネットなど、歯科を社会に向けてどのようにアピールしていくかということに対して、先生は早くから取り組んでいらしたようですが。
星野●医療法という制約があるので、その中で自院をアピールするにはインターネットしかないなと思い、それですぐ目が行きました。

---インターネットの反応はどうですか?
星野●実はうちの患者さんの8割から9割はインターネットを見て良いと思って来てくださっている患者さんです。まだみんながやってない時期にホームページを始めたので、検索サイトヘの登録が簡単にできました。そこにインプラントのホームページも登録しているので、それを見て来てくださる方が多いですね。
■患者さんのためを考えたコミュニケーション
---インプラントなどについて、患者さんとのトラブルとかはありませんか?
星野●ないですね。危険な時は前もって患者さんにリスクを伝えて“それでもやりますか?”と意志確認をしています。とにかく、患者さんのためを思った治療計画が大切だと思います。患者さんの口の中が自分の口の中だと思って、コミュニケーションをとれば痛みなどはわかるじゃないですか。
 ですから、痛がっていればとりあえず痛みをとって噛めるようにしてあげて、それから治療計画に入るようにしています。
 また、長い目で見てもつ治療という視点からコミュニケーションをとるようにしています。


---一人の患者さんとどれくらいの話し合いの時間をとっていますか?
星野●症例によりますが、まず歯が痛いという患者さんは簡単に話をして、まず痛みを取り、他に悪いところがあればその次の回に治療計画などを話します。また、最初から歯がボロボロの人はまず検査をします。そして2回目に、1時間くらいアポイントを取ってもらって、じっくりと話します。
 治療費、治療期間、治療計画その3つを話せば、だいたいの患者さんは納得されますね。患者さんとよく話し合って、計画を立てて、費用もその時点である程度決めてしまいます。そうすれば、金銭トラブルはなくなるし、目標が立っているので、患者さんもきちんと来てくれます。
 患者さんサイドに立って考えて、歯科医のイメージ、「待たせる」「痛い」「高い」という3つの難点をクリアすれば、患者さんは歯科医院に足を運んでくれると思いますよ。高いというのも、患者さんの言う意味は、その値段に見合った治療かどうかですから……。納得のいく説明をするのが大切だと思います。

■小さな変化を見逃さない
---今、歯科医師の多くは、患者数の減少、それにともなう経営の悪化、という現実に直面して、どうしていいか悩んでいるという状況だと思いますが…。
星野●悩む前に何か実行することだと思います。どうしようもなくなるまでには、そこに至る過程があると思うんです。30人来ていたところがいきなり10人になるということはまずないと思います。1人、2人と減っていくわけですが、その時に、どうして減っているのかを手を抜くことなく常に分析することだと思います。
 何が悪いか、私はいつも考えています。ちょつと患者が減ると心配になるんです。
 前年度の統計と見比べて、前年度より減り幅が大きければ「今月何があったかな? そういえば、受付が変わったな、ドクター変わったな」と振り返るんです。心配症なんでしょうね。


---小さな落ち込みだったらまだ修正が可能ですよね。
星野●どん底になってから這い上がるって難しいと思います。そうなる前にやればいいと思っています。

---まじめにやっていて経営がうまくいってないというケースもここ最近増えていますが。
星野●一生懸命やっているようで、なにかポイントがずれているのかもしれませんね。例えばそもそも開業地が間違っていたとか。人のいないところに開業してもしょうがないし、また、もし人がこないのだったら、看板を出すとかして人の流れを変えてみることも必要です。これからの医院経営には、本当の意味での経営能力が問われてくると思うんです。
 昔は患者さんが多かったので、開業すればもう安心というところがあったと思います。でも、今は違いますよね。統計とかを見て、なんかおかしいな?と思ったら、常に考える習慣をつける必要があると思います。


---今後の展望は。
星野●私は、いつまでも現行の保険制度が続くとは考えていません。保険がなくなってもやっていけるようにとは思っています。その時に勝ち残る歯科医院は、独自のものを持っているところや、今から自費でやっているところだと思います。
 突然保険制度がなくなってすべての治療が自費で、ということになったら歯科医院を選択する患者さんの目は本当に厳しいものになると思います。保険だけでやっていた歯科医院は、成り立たなくなるくなるのではないでしょうか?


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